第4章 リフォームの見積もりに必要な技術

施工店の建築技術は現場を見抜く力

第4章 リフォームの見積もりに必要な技術

現場調査で全ては決まる!見積もりが出来るまで!

現場調査で、仕上がり、使い勝手、価格が決まり、現場調査は工種全体を満遍なく把握している技術者でないとできません。

  1. 仕上がり
  2. 使い勝手
  3. 価格
最低限必要な現場調査 [例] キッチン
  • 最大限に設置できるキッチンの寸法・・・空間の有効利用。
  • 使い勝手・・・コンセントの位置、吊り戸棚の高さ等。
  • 自然採光・・・既存の窓の位置の有効利用。
  • キッチンパネルの納まり・・・正確な数量の把握。
  • お客様手持ちの家電製品の寸法・・冷蔵庫、電子レンジ等全て。
  • 食器棚の寸法と納まり・・・有効作業寸法。
  • 天井高さ・・・ウォールユニットの計画。クロス等他の積算。
  • 引き込み電線の容量/太さ・・・特にIH導入の場合。
  • 既存換気扇の位置・・・新設ダクトの納まり。外壁補修の有無。
  • 床のレベル・・・フローリング・下地工事の是非。
  • 床下収納庫・・・設置・変更の是非。根太位置の確認。
  • 窓廻りの納め方・・・窓枠の施工の是非。吊り戸棚との納まり。
  • 既存のタイル壁等の強度・・・解体かパネル上貼りかの判断。
  • 給排水管の点検と、蹴り出し位置。
  • レンジフードの確認と、排気蹴り出し位置。
  • ガス管の接続位置と、外壁貫通位置の確認。
  • 排水消音装置の必要性。(通気管の必要性)
  • キッチン本体に対するお客様のご希望。

 

上記が最低限の調査内容です。この情報がない限り、、、

  1. 販売店は見積もりが出来ないはずです。
  2. 追加工事が発生する確率がグンとあがります。
  3. 作業工程も組めません。納期も確定しません。

 

この調査書から下記のような図面をおこす必要があります。

 

基本となる平面図

他の部屋と関係が重要な場合、建物全体の図面が必要な場合があります。
この時点で設置可能なキッチンの幅が決まります。

 

キッチンリフォーム図面

 

キッチンの立面図-1

高さ関係の寸法が必要です。吊り戸棚とレンジフードの高さ、仕様、及び必要材料が決まります。また窓廻りの納まり、使い勝手による高さも検討します。ココで冷蔵庫の採寸が必要な事がわかります。放熱のための隙間も計算が必要です。

 

キッチン立面図

 

キッチンの立面図-2

キッチンとダイニングの間に、間口半分程度の壁を造作した例です。これはカップボードの納まりと、ダイニングからキッチンが、丸見えにならない為です。

 

この時点で電子レンジの高さの採寸が必要な事がわかります。壁の向こうのカップボードは点々で描かれています。コンセントの位置も関係するため、ある程度家電製品の位置は決めてしまう必要があります。

 

キッチン立面図-2

 

キッチンの詳細平面図-1

キッチンパネル、下地のコンパネなどを考慮して、実寸での有効寸法から、実際の配置図を起こします。この例では作業スペースが一般より狭くなるため、カップボードの開き勝手は引き戸にしなければ、使いにくいキッチンになってしまう事なども解ります

 

キッチン詳細図-1

 

キッチンの詳細平面図-2

設備関係では電気工事であるコンセントの位置と、設置数が使い勝手に影響します。 2坪のキッチンでも、天井照明を加えると、コンセント配線だけで、11ヶ所程度必要な事がわかります。使いやすい水廻りにするため、照明スイッチの位置、給湯リモコンの位置なども、図面に落としておく必要があります。

 

キッチン詳細図-2

 

必要な工事種目を拾い出し

実際の見積もりを算出する前に、必要工事ごとに数量、箇所数など確認し、必要な工事種目を拾い出します。この図面が見積もりの元となります。また図面と一緒に数量を積算することで材料を有効に使う事ができます。

 

キッチン工事種目

 

仕上がり確認

仕上がりを立体画面で立ち上げると、お客様はわかりやすいです。

 

キッチン仕上がり

 

図面の重要性

リフォームでは、お手持ちの家具類も全て採寸し、改装後も支障なく使えるように計画する事が、本当の意味で節約であり、価格を安くするための秘訣なのです。 上記の計画例では、この他にも4枚ほど図面が必要でした。

 

リフォームで失敗しないための図面とは・・

  • お客様にも解りやすい図面である事・・施工者にも解りやすい→工事ミスがない。
  • 誰が見ても、空間構成が解りやすい事・・スムーズで快適な動線の実現。
  • 使い勝手まで意識できる図面・・「こうすればよかった」など失敗がなくなる。

 

お客様、施工者、監督、営業、ショールームの担当者、材料屋

この様な複数の図面を、全員が共通して持つ事で、それぞれ意思の疎通を図る事ができ、話がスムーズに進み、ミスがなく、段取りが良く、仕様変更に対応しやすく、ゴミが少なく、お客様の理想の仕上がりになり、尚且つ価格を下げる事が出来るのです。

 

最大のポイントは、正確な図面があるからこそ格安の見積もりが成り立つのです。図面は建築の全てで、事故・ミス等の発生を防御する、世界共通の言語なのです。お客様・職人が分かりやすい図面での施工は、完成度が高いです。

 

目安とは言え、チラシでみられる工事費込みの、「水廻りリフォームの価格」が、いかにあてにならないものかお解かり頂けると思います。

 

≪第4章≫のポイント

お客様のやる事その4
  • 販売店の担当者が、採寸に十分な時間をかけているか。
    一般的にキッチンだけでも採寸に1時間程度要します。
  • 仕様に基づく、プレゼン用のカタログ、資料の提出があったか。
  • お客様にも解りやすい図面と一緒に、見積もりの提出がされたか。
  • 図面、仕様書に基づく、見積もり書の説明はあったか。

上記を確認すると共に、時間、連絡事項など、約束をキチンと守れる販売店であるかどうかを、ご自身の目で判断する事が、一番重要だと思います。