第1章 水廻りリフォームの必要工事内容

キッチンの見積もりに隠された秘密

第1章 水廻りリフォームの必要工事内容

水廻りのリフォームの価格が割高で、見積もりの内容がわかりにくい!

クロス貼替えや床工事、建具交換などの内装リフォームとは異なり、水廻りの改装ではその工程においても設備工事が中心になります。この事が一番の理由で、単純に作業業種が多くなり、職人の頭数が必要になり見積も複雑で解りにくくなります。

 

キッチンと内装工事の比較
キッチン新設工事の業種
解体工事

既存設備機器、間仕切りの解体

大工が解体する事もある

大工工事

キッチン下地・間仕切り造作

給排水設備

既存配管撤去/新設配管仕込み

電気工事

既存配線撤去/新設配線仕込み

ガス工事

既存配管撤去/新設配管仕込み

キッチン組み立て

キッチンパネル施工 [大工工事が一般的]

組立専門業者が施工 [保証関係でメーカー施工]

給排水接続工事

仕上げの配管接続

クロス工事

クロス・CFの施工/フローリングの場合は床先行

ガス工事

新規のガス器具に接続

電気工事

配線仕上げ・器具取り付け/コンセント、スイッチカバー

内装工事の職種
大工工事

建具工事、フローリング貼り、

レベル調整、解体工事、木幅木取付け

クロス工事

クロス、CF、フロアタイル、絨毯、ソフト幅木

電気工事

コンセント、シーリングの移動・新設

TV受信設備やネット回線の整備や移設

 

上記のように、内装工事に比べ狭い空間に工程上必要な業者が入り乱れます。電気、水道、ガスなどの設備工事の職人は完成まで最低2回現場に足を運ぶ事になります。 これは、どのような販売体制であるかに係わらず、上記の工程・工種は同じです。

 

価格を安くするためのポイント−1

 

職人の人数を減らす

工務店側においては、他の現場も考慮し工程を細かく設定する事で、工数は減りませんが人工は減らす事ができます。工程の計画時に二度手間の発生が無いようにするため、内装の仕様はお客様が確定する必要があります。

 

設備工事の分散

電気、水道、ガス全て施工可能な「設備会社/職人」と言うのは基本的に存在しません。しかし同時期の施工件数を多く持つ事で、各現場の工事を分散させて1日の仕事量を有効に確保する事はでき、1件当たりの単価が安くなります。

 

入念な現場調査

余計な追加工事が発生しないようにする事と、最終的な納まりを確実に決めておく事で施工時間の短縮に繋がり、またミスも少なくなります。これは優秀な監督が存在してはじめて実現します。

 

価格を安くするためのポイント−2 チラシの価格は目安

 

キッチンの入れ替え工事の場合、総支払い額の50%以上が工事費になる場合があります。このため、キッチン本体が何%の値引きであるという事は、本質的にはあまり意味がありません。工事費込みの総支払い額が全てです。

 

新聞チラシに掲載される格安システムキッチンは、最低限の仕様の場合がほとんどです。 以下はパナソニックのシステムキッチンの仕様例です。仕様ーAが基本にチラシ仕様になっている場合が多いです。この場合ほぼ100%食器洗い乾燥機などは付いていません。基本的にチラシの画像は豪華に見えるように撮影されているので特に注意が必要です。

 

「チラシの仕様」と「人気グレード」の価格差

仕様ーA

チラシのグレード

 

仕様ーB

人気のグレード

 

レンジフード

 

換気方式

プロペラ

 

レンジフード・・・換気扇

  • 色/黒
レンジフード

 

換気方式

シロッコファン

 

レンジフード・・・換気扇

  • 色/シルバー
  • お手入れ簡単
カウンター・シンク

 

ステンレスカウンター

カウンター・シンク

  • エンボス仕上げ
カウンター・シンク

 

人造大理石カウンター

カウンター・シンク

  • スキマレスシンク
  • お手入れ簡単
  • ベブルホワイト色
水栓金具

 

固定水栓金具

 

水栓金具

  • 泡抹吐水
水栓金具

 

引出し式ハンドシャワー

 

水栓金具

  • 泡抹吐水
  • 浄水器付き
  • シャワー吐水
  • 直流切り替え
食洗/乾燥機

無し

 

 

食洗機

  • 引き出しユニット
食洗/乾燥機

有り

 

 

食洗機

  • 深型食洗器
  • 前面扉材仕様
  • エコナビ
  • パワー除菌ミスト
キッチン横幅

W-2100mm

 

キッチン横幅

 
  • W-2100mm
  • キッチンパネルの施工無し
  • カウンター奥行き
    600mm
キッチン横幅

W-2550mm

 

キッチン横幅

 
  • W-2500mm
  • キッチンパネル付
  • カウンター奥行き
    650mm
扉柄仕様

 

 

扉柄仕様

  • グレード10
  • SM10シリーズ
  • (単色)
扉柄仕様

 

 

扉柄仕様

  • グレード40
  • SX40シリーズ
  • (木目選択可)
キッチン照明・流し元灯

 

 

キッチン照明

  • 15型蛍光灯
  • グロースタータ
  • プルスイッチ
キッチン照明・流し元灯

 

 

キッチン照明

  • LED照明
  • ライン照明
  • スリムデザイン

 

上記は、左右共にパナソニックのリビングステーションSクラスのカタログからの写真です。チラシで品番などが提示されていても、お客様が必要なオプションを追加していく内に価格は変動します。

 

キッチンパネルと扉柄で価格が跳ね上がる

キッチンパネルと扉柄選択は特に注意が必要

キッチンパネルの施工や扉柄のグレードアップまでを考慮し、価格の総額として種類別にパターン化されて掲載される良心的なチラシは、ほとんど見たことがありません。

 

扉柄は特に注意

扉柄の最上級グレードと最低グレードの差でキッチン本体がもう一つ購入できるくらいの価格差が生じます。

キッチンパネル本体と取付材料費と貼り手間

W−2550のキッチンでキッチンパネルを冷蔵庫の裏まで貼った場合のおおよその価格を考えてみます。ほとんどの場合キッチンの端部分から冷蔵庫の裏まで回り込ませた施工になります。

 

キッチンを新調した場合、納まりを良くするため既存のタイル部分にはキッチンパネルを貼ります。下記がメーカー価格と写真がメーカー推奨のキッチンパネルセットです。本体の他、コーキングや見切り材、両面テープが施工材です。

 

キッチンパネル施工セット

 

パネル取り付け施工セット

7,350円×2セット=14,700円

 
キッチンパネル本体

(1セット2枚入り)
1セット31,900円×3セット=93,970円

施工費

この金額を無料にする工務店はありません。安くて12,000円

 
合計・・・120,570円

 

この金額を50%引きにしてくれる工務店は私共を含めほぼ無いと言えます。キッチンパネルの施工ですべてメーカー純正の材料を使う場合は半額にすると工務店はこのカテゴリーでは完全に赤字になります。

 

私の実績でプランしたキッチンのオプションベスト8

  1. 水栓金具・・・・・・ハンドシャワー水栓
  2. ウォールユニット・・ソフトダウン
  3. レンジフード変更・シルバー色/スマートフード
  4. 加熱器の変更・・・シルバー色/ガラストップ
  5. 食器洗い乾燥機・・深型/上面操作パネル/ミスト
  6. 扉柄変更・・・・・1ランクアップ
  7. 流し元灯・・・・・LED照明
  8. 収納・・・・・・・フラップアップ

 

私のお客様は上記の内、平均4点をオプションとして複数追加されています。 このように通常必要なキッチンパネルと、平均的な追加オプションを定価ベースで算出すると、おおよそですが、チラシ価格より30万円ほど高くなる計算になります。

 

 

「でも、半額なら15万円のUPじゃないの?」

 

いいえ、違います

 

一つの例でしたが「純正のキッチンパネルが半額以下になるか?」施工業者に問い合わせて下さい。そもそも見積りに入っていてもホームセンターで仕入している可能性もあります。また、食洗器などを追加すると、水道の往き戻り管の接続工事費、電気工事費も必要となり、設備費工事費としても追加されます。

 

その他、ガスコンロをIHに変更した場合、200Vの電源の引き込み工事も発生する事になります。古い住宅の場合で引込み線が2線100Vの場合、柱上変圧器から自宅に3線200Vを引き込む必要も出てきます。
(この工事はブレーカの取替えを含め10万円を軽く超えます。)

 

一番問題なのは、本体が50%の値引き表示が提示されていても、オプション品などで、お客様が追加、変更する可能性の高い商品は、本体と同じ値引き率になっていない場合が多いと言う事です。このような事が最終見積もりが高く感じる理由の一つであり、50%引きチラシのカラクリです。

 

≪第1章≫のポイント

お客様のやる事その1
  • オプションによって設備費も変わるため、チラシ価格をあてにしない事。
  • 販売店の小冊子ではなく、まずメーカーの純正カタログを手に入れる事。
  • (販売店の売りやすい商品を、売り付けられる事があるため。)

  • 本当に必要なオプションを選択し、定価を調べておく事。
  • (わからない項目はチェックしておく)

  • キッチンパネルを含めた、キッチン本体価格を把握しておく事。
  • システムキッチンは数百点の部品の組み合わせであるため、販売店に全て任せるのではなく、最低限の予備知識を持つ事。

 

結構みなさん、車を購入するときには、カタログを隅々まで読んで、オプション品など、どれを付けるか悩み、色々なディーラーを回り、試乗もし、値引き交渉もされると思います。キッチンも高価な商品ですから、その感覚になって欲しいと思います。

 

また車と同じように、後からでも取り付け可能なオプションや、メーカー品でなく、ホームセンターなどの汎用のもので間に合うオプションもあります。